- スポンジの豆知識
【ウレタン緩衝材加工】素材選定から追加工まで一貫対応
ウレタン緩衝材とは?
製品の輸送や保管において、衝撃や振動から中身を保護するために不可欠な「緩衝材」ですが、その中でも、ウレタン(ポリウレタンフォーム)は極めて優れた特性を持つ素材として、精密機器から工業製品、日用品に至るまで、幅広い分野で採用されています。ウレタンフォームは、ポリオールとポリイソシアネートを主成分として、発泡剤や整泡剤などを加えて化学反応させることで生成される、微細な気泡構造を持つ多孔質の素材です。この内部構造が、ウレタン特有の優れた緩衝性能を生み出しています。
緩衝材にウレタンが選ばれる3つの理由
ウレタンが緩衝材として広く利用されるのには、理由があります。
主に以下の3つの特徴が、他の素材に対する優位性となっています。
優れた衝撃吸収性(クッション性)
ウレタンの最大の特徴は、その高い衝撃吸収性能です。内部に無数の気泡を含む構造により、外部からの衝撃エネルギーを効率的に吸収・分散させることができます。落下などの突発的な衝撃に対して、ゆっくりと元の形状に復元する「低反発性」を持つタイプや、繰り返し加えられる振動に対して高い復元力を示す「高反発性」を持つタイプなど、用途に応じて物性をコントロールできる点も大きなメリットと言えます。
高い加工性
ウレタンは、カットや打ち抜きといった加工が非常に容易な素材です。これにより、保護対象となる製品の複雑な形状に合わせて、隙間なくフィットする緩衝材を製作することが可能です。プロッター加工やトムソン加工、スライス加工、プロファイル加工など、ロット数や形状の複雑さに応じて最適な加工方法を選択できるため、コストと品質のバランスを取りやすい点も魅力となっています。
軽量性と耐久性
多孔質であるため非常に軽量でありながら、適切な密度と種類を選定すれば、優れた耐久性、耐荷重性を発揮します。これにより、輸送コストの削減に貢献しつつ、長期間にわたって製品を確実に保護し続けることが可能です。また、耐油性や耐薬品性、難燃性といった付加機能を持つウレタンも存在し、特定の環境下での使用にも対応できます。
なぜ「オーダーメイド加工」が必要とされるのか?
市販されている汎用的な緩衝材では、大切な製品を十分に保護できないケースが少なくありません。以下のような課題を解決するために、製品ごとに最適化されたオーダーメイドのウレタン緩衝材が求められています。
複雑な製品形状への対応
精密機器や工業部品など、凹凸や曲面が多い製品は、汎用的な緩衝材では隙間ができてしまい、輸送中のズレや部分的な衝撃から保護しきれません。オーダーメイド加工で、製品形状に完全にフィットさせることで、あらゆる方向からの衝撃に対応できます。
最適な保護性能の実現
製品の重量や壊れやすさは様々です。オーダーメイドであれば、製品の特性に合わせてウレタンの種類、硬さ、厚みをミリ単位で調整し、過剰でも不足でもない、最適な保護性能を実現できます。
作業効率の向上
製品を梱包する際の作業効率も重要な要素となります。誰が作業しても同じように、かつ効率的に梱包できるよう設計された緩衝材は、現場の生産性向上に直結します。
失敗しない!ウレタン緩衝材の加工業者選びのポイント
大切な製品を保護するウレタン緩衝材は、パートナーとなる加工業者選びがその性能を大きく左右します。ここでは、自社のニーズに最適な一社を見極めるために、発注担当者が確認すべき4つの重要なポイントを解説します。
ポイント1:対応できる加工方法の種類と実績
業者によって保有設備や得意な加工方法は異なります。自社が希望する製品の数量や形状の複雑さに応じて、「プロッター加工」や量産向きの「トムソン加工」といった、最適な工法に対応できるかを確認しましょう。あわせて、ウェブサイトなどで公開されている加工実績から、求める品質レベルを満たしているかを判断することも大切です。
ポイント2:製品に適した素材を提案できるか
ウレタンは、密度、硬度、機能性によって多岐にわたります。単に依頼通りに加工するだけでなく、製品の特性や使用環境を丁寧にヒアリングし、豊富な知識から最適なウレタン素材を提案してくれる専門性があるかが重要です。素材選定の段階から相談に乗ってくれる業者を選びましょう。
ポイント3:小ロットや複雑な形状に対応できるか
「まずは試作品を1個だけ作りたい」「開発段階で設計変更があるかもしれない」といったニーズは頻繁に発生します。1個からの小ロット製作や、他社では断られたような複雑な形状の加工にも、柔軟に対応してくれる技術力と姿勢があるかを見極めることが、信頼できるパートナー探しの鍵となります。
ポイント4:テープ貼りなどの「追加工」まで任せられるか
緩衝材への「両面テープ貼り」や、他の部材と組み合わせる「接着加工」といった付帯作業が発生することも少なくありません。これらの「追加工」までを一貫して任せられる業者であれば、複数業者への発注の手間が省け、管理工数を大幅に削減できます。
スポンジのプロだからこそ可能なオーダー加工と一貫対応
メーカーと商社の知見を活かした最適な「素材提案力」
スポンジのプロを運営する角一化成株式会社は、長年にわたりイノアックコーポレーションの正規代理店として活動してまいりました。この「商社」としての強い仕入力と製品知識に加え、全国の協力工場と連携して日々加工を手配する中で蓄積された、メーカーに準ずる豊富な「加工ノウハウ」を併せ持っている点が、他社にはない大きな特徴です。これにより、特定のメーカーのラインナップに縛られることなく、数ある選択肢の中からお客様の製品特性、使用環境、そしてコスト要求に対して、客観的かつ最適なウレタン素材を選定し、ご提案することが可能です。
・緩衝材に最適な素材
SlimFlex® (旧PORON)/コンシューマーシリーズ
形状・コスト・ロット数に応じた最適な「加工技術の選定力」
「試作品1個を、複雑な形状で作りたい」「定期的に数千個を、コストを抑えて生産したい」。お客様のニーズは多岐にわたります。私たちは、お客様一人ひとりのご要望(形状の複雑さ、求める精度、コスト、ロット数)を丁寧にヒアリングし、協力工場が持つ複数の加工技術の中から常にベストな工法を選定してご提案します。当社では、緩衝材の作成時、数量や形状に合わせて、プロッター加工やトムソン加工、スライス加工、プロファイル加工など最適な工法を選択、製造いたします。
加工事例紹介
緩衝ボックス

今回、お客様からは製品サイズ・重量と、外装材のサイズについて要望があり、当社にて最適な素材選定から対応することになりました。今回ご提案をした素材は、発泡品で強度を持たせるために「A-8」を提案。加工方法に関しても、形状が複雑であったため、加工コストを抑えることができる積層を提案し、加工費・材料費ともにコスト低減に貢献できました。
自動車部品搬送箱

素材はP・EライトのA-8、B-150を選定しました。P・Eライトはウレタンではありませんが、ポリエチレンフォームの独立気泡タイプのもので、緩衝材として適した素材です。長時間の移動から製品を守ります。また、納入後にAssy業者様にて組立作業が行われるという点に着目し、製品が取り出しやすい仕様としました。
金属端子運搬用緩衝スポンジ

お客様では当初は、プラスチック製の仕切りが付いた通い箱を使用しておりました。しかし、金属端子が擦れて黒くなってしまうという問題が発生していました。そこで、仕切りをプラスチックからスポンジに変更することで、この問題を解決したいというご要望をいただきました。
本製品には、LD-45という低アウトガスでクリーンな材料を用いています。アウトガスが非常に少ない発泡体であり、電子回路など精密機器に対して安心してご使用いただけます。50mm厚のスポンジを4枚重ねて、合計200mmの厚みとし、端子が運搬時に動かないように、大きさに合わせて、スポンジに等間隔に穴を開けております。
ウレタン緩衝材の加工のことなら、スポンジのプロにお任せください
「自社の製品形状にぴったり合う緩衝材が見つからない」
「試作品を1個から相談できる業者を探している」
「コストと品質のバランスが取れた最適な素材と加工方法を提案してほしい」
もし、このようなお悩みやご要望をお持ちでしたら、ぜひ一度「スポンジのプロ」にご相談ください。長年イノアックコーポレーションの代理店として培ってきた豊富な製品知識と、全国の協力工場との連携による高い加工対応力を掛け合わせ、お客様一人ひとりの課題に寄り添った最適な素材・製品をご提案いたします。
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